この漫画の連載時、「サラリーマンという地味な世界が、熱血ロマン漫画として成立するのか?」と、半信半疑でコミックス版を読み始めたのだが、これが、実に面白かった。本宮氏の手に掛かると、サラリーマンでさえも、熱血ロマン漫画の主人公になってしまうのだ。
「サラリーマン金太郎」は、元暴走族の頭、矢島金太郎が、会長の命を助けた縁で、業界のトップ企業の見習い社員として採用され、鉛筆削りの身分からスタートし、あれよあれよという間に周囲の評価と人望を集め、もちろん女にもモテまくり、果ては政財界から裏社会の大物にまで、日本中に人脈を広げ、幾多の試練を乗り越えながら、社長を目指して出世街道をばく進するという、まさにスーパーサラリーマン物語である。並の作家が書けば、「こんなサラリーマンいないよ」となってしまうのだが、本宮氏が書くと、力ずくで読者を納得させてしまうのだ。連載中は、サラリーマンのかなわぬ夢を、自分に代わって金太郎が実現してくれる爽快さに、多くのサラリーマンが酔いしれたのではないだろうか。
この作品は、連載を続けようと思えば、もっと続けられた余地があった時点で、惜しまれながら終了してしまったのだが、本宮氏は、この作品の終了後は、作風も変わり、連載は打ち切りの連続となっている。思えば、本宮氏は、この作品が、漫画家としてのピークだったのかもしれない。私は、本宮氏は、何歳になっても、古くは「男一匹ガキ大将」から「俺の空」、そして、この「サラリーマン金太郎」に至る豪快な熱血漫画にこそ、最大の持ち味を発揮する作家だと思っている。こうした漫画での本宮氏の復活に期待したい。